自分以外の誰かみたいに素敵な人生を歩めたら、すごく幸せな気がする。だから、つい追い求めたくなる。
そんな人生を送っていましたが、その先に本当に欲しい幸せって見つからなかったんですよね。
そんなことを思い出したあるクライアント様とのやり取りをご紹介します。
自分以外の「誰か」になるための服
以前サポートさせていただいたAさん。クローゼットの中は、かわいい服でいっぱいだったんですね。
と思いながら眺めていたのですが、ご本人はちっとも満足されていないお顔で。
よくよく話を聞くと、
「自分にはないものばかり持っていて、羨ましいなって思う人がいるんです。
自分はこんなにうまくいっていないのに、あの人はいつも楽しそう。
だから、あの人みたいになれば自分もうまくいくかも……!自分も素敵になるのかも……!ってその人に寄せて服を買ってたんです。
でもこの服、ちっとも着たいって思えないんです。」
ということでした。
自分の魅力を引き出しさらに開花させるために服を選んできたのではなく、自分を否定し別の誰かになるために服を選んできたこと。
だから、すごく苦しそうで。辛さがひしひしと伝わってきて、私までとても悲しい気持ちになったんですよね。
「誰か」になるために自分を否定するということ
憧れのあの人。いつも楽しく幸せそうなあの人。センスの良い素敵なあの人。
素敵だなあ……と思う方に慣れたらどれほど幸せだろうか、と思いますよね。私もずっとそう思っていました。
でも「誰か」になろうとするということは、自分を消しているということ。
他に存在しないただ1人の人間としてこの世に生まれたのに、その存在を認め受け入れず
消そうとするのであれば、そりゃあ苦しくなりますよね。
自分以外の「誰か」になるための服選びをしてきた方と話をしていて、いつも思い出すのはエビちゃん大フィーバー時代です。
「エビちゃんみたいになりたい!」「というかエビちゃんになりたい!」って同じ服、同じヘアメイクの人が街中に溢れていたあの頃は、エビちゃんの量産型女子が街中に溢れていて。(ディスってないですよ。)
ちなみに私は、エビちゃんみたいなキャイキャイした格好はできなくて、もう少しシンプルな格好をしていました。
憧れてはいましたが、真似はできなかったんですよね……なんか恥ずかしくて。
でですね、量産型女子が溢れるのはいいんですよ、なんかその一生懸命な感じがかわいいなあと思うので。
ただその根底にあるものが「憧れ」「綺麗になりたい!」「可愛い自分でいたい!」ではなく「自己否定」なら、そこを見つめ変えていかなければいつまで経っても苦しいままなんですよね。
この考察↓がすごく好き。
『AERA』2006年4月10日号では、他のOLと同じ「ハズレ」のない無難な格好で、会社の先輩受けも上司受けも男受けも良く、友達の中で悪目立ちしないファッションとして、エビちゃんOLファッションが好まれていると分析されている。
「みんな一緒」「無難」「流行っているから」を選び続けた人が自分軸を見失い、今この時代苦しんでいるよなあ……と思います。
誰かになろうとしなくてもいい、そのままでいい。
って言われてもすぐに「そうですよね!辞めます!」なんて切り替えるのは難しいもの。
でも、一旦立ち止まってみて、
誰かになろうとするのではなくて自分らしくていいのなら、どんな自分でどんな生き方をしたい?
その自分はどんな服を着ている?
こうやって考え続けていると、だんだんと自分を生きない選択、誰かになろうとする選択って苦しいんだなと思えるようになります。
それでも今までと同じ選択をしてしまう自分を、変えるための第一歩。
それが、自分らしくない服を手放すことなんですよね。
誰かになろうとしなくていい。
そのままでいい。
自分で自分に言えるくらい、自分の存在を認め受け入れられるようになれば、人生って本当はもっと楽しいんですよね。
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